ある看護師の体験談
Yさんの体験談
実際に緩和ケア病棟で働く看護師Yさんの働くきっかけとなった出来事や、働き始めてから感じたことなどの体験談をまとめています。緩和ケアの看護師に興味を持っている人は、何か役立つことが見つかるかもしれませんのでぜひチェックしてみてください。
働き始めるきっかけ
看護学校を卒業してから正看護師となった当初は、都内のがんセンターに勤務していました。それから家庭の事情で退職をしてから8年間のブランクを経て、デイサービスへと転職をして働いていました。いくつかの総合病院にも勤めましたが、がんセンターに勤務していた頃から興味があった緩和ケアを突き詰めたい考えるようになり、緩和ケア病棟への転職を決意しました。
希望していた理由
緩和ケア病棟の患者さんは余命いくばくもない終末期の人が多いです。そのため、なぜわざわざそのような職場で働こうと思ったのかと聞かれることもよくありました。私の場合は初めての就職先が緩和ケアと近い環境のがんセンターであり、看護人生のスタートから緩和ケアを身近に見てきました。患者さんの生命を尊重して、死を早めることもむやみに引き延ばすこともなく、痛みやその他の苦痛を和らげている姿に自然と惹かれていった感覚です。また、死を迎えるその瞬間まで前向きな人生をサポートしたいという思いもあり、緩和ケアを希望していました。
印象的な経験
私が緩和ケア病棟で働いてまだ1年目の頃、Aさんという入院患者さんがいました。Aさんは生活保護を受けていて家族との交流があまりない患者さんでした。Aさんの話を聞くと息子さんが1人いて、音信不通の状態が続いていたそうです。Aさんは末期がんを患っており、身体の状態を看て、家族に連絡を取ろうと思い息子さんの連絡先を聞くことにしました。最初は渋っていたAさんですが何度か説得をすると連絡先を教えてくれたので、息子さんに連絡を取り病院へ来てもらうことにしました。
息子さんは父親の面倒を見たくないと最初はおっしゃってましたが、Aさんの症状と今後に関することを伝えると、息子さんは自然にAさんの病室に来るようになりました。しかし、徐々にAさんは話すこともままならなくなり、最後の別れがやって来ました。
息子さんはAさんの最期を看取ることができて良かったと、泣きながら私に「本当にありがとう」と伝えてくれました。私はこの「ありがとう」を聞いた時に、緩和ケア病棟で働いて良かったと心の底から感じました。
寄り添った看護を目指す人へ
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緩和ケアの求人は数が少ないため、ひとつの求人に応募が殺到してしまいます。応募倍率が高い緩和ケアの求人であっても、「レバウェル看護」を活用すれば徹底したサポートで採用を勝ち取ることができます。
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緩和ケアはチームで取り組むものなので、チームの一員として看護師に求められる役割があります。看護師はチームの中で患者さんに最も近い存在ですので、患者さんの状態をしっかりと把握し、チームに共有していきましょう。
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最近よく耳にする緩和ケアとは一体どのようなものなのでしょうか。一昔前までは治癒の見込みがない患者さんに行うケアでしたが、現代では定義が変わっています。