看護師に求められる役割
身体と心の苦痛緩和
病気によって患者さんが抱える苦痛も変わるので、そのステージごとに抱えやすい苦痛をよく理解しなければなりません。身体症状として痛みや吐き気、倦怠感や息苦しさなどが出ることもあれば、精神症状として気分の落ち込みや孤独を感じることなどもあります。そして身体症状が原因となって精神症状を発症していることもあればその逆もあるため、苦痛を和らげるためには何をするべきかを判断します。看護師は最も患者さんに近い存在の医療スタッフなので、状態を把握してひとりひとりに合わせた幅広い援助をします。
意思を尊重する
医学的に必要と考えられる検査や処置を行うだけでは、治癒を目的としている医療なので緩和ケアとは呼べません。そのため緩和ケアの看護師は患者さんやそのご家族の意思も尊重し、最優先に考えることが求められます。点滴や栄養のための管を入れることなどは必要最小限にとどめ、なるべく本人らしい生活を送れるように配慮します。
療養生活に配慮を
多くの緩和ケア病棟には患者さんやご家族が思い思いの生活ができるようデイルームを設けてあったり、季節に合わせた行事を楽しむための企画をしたりしています。緩和ケアの看護師はこのような施設への配慮や行事の企画などを仕事とすることもあります。ベッドから起き上がることが難しい患者さんに対しては、ストレッチャータイプのお風呂で入浴が出来るようにするなど、状態に合わせて楽しみを持てるように工夫します。
外来や在宅での看護師の仕事
入院していた患者さんが退院するときには、引き続き病気と付き合いながら日常生活を送るため、外来や在宅でも緩和ケアを継続しなければいけません。病院によっては専門の緩和ケア外来を設けていて、主治医と連携を取りながら緩和ケアの提供をしているところもあります。また、自宅での生活を希望する人も多いので、そのような患者さんたちには在宅での緩和ケアに力を入れた訪問看護ステーションがあります。
看護師は外来でも患者さんの様子をよく観察し、生活にどのような変化を生じているのかをできる限り把握することも大切です。自宅療養を選択している患者さんに対して訪問看護をするケースでは、生活状況を観察して快適な自宅療養生活のためにできることを考えます。そして専門のチームと意見を交換して、よりよい緩和ケアに向けて何ができるのかを実践していきます。
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寄り添った看護を目指す人へ
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緩和ケアの求人は数が少ないため、ひとつの求人に応募が殺到してしまいます。応募倍率が高い緩和ケアの求人であっても、「レバウェル看護」を活用すれば徹底したサポートで採用を勝ち取ることができます。
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緩和ケアはチームで取り組むものなので、チームの一員として看護師に求められる役割があります。看護師はチームの中で患者さんに最も近い存在ですので、患者さんの状態をしっかりと把握し、チームに共有していきましょう。
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最近よく耳にする緩和ケアとは一体どのようなものなのでしょうか。一昔前までは治癒の見込みがない患者さんに行うケアでしたが、現代では定義が変わっています。